こころの星







乃彩には、大好きなあにち〜がいるの。




乃彩はあにち〜のことを考えると胸がどきどきして心が温かくなって、なんだかジッとしていられなくなっちゃうんだぁあにち〜はすっごく優しくて、どんなことでも出来て、誰よりもカッコイイ、乃彩のあこがれの人。
乃彩が落ち込んだり悲しくなったときはいつも慰めてくれるし、困ったことがあってもすぐ解決してくれるの。それに乃彩よりずっとずっと物知りですっごく頼 りになるんだよぉ

あ、でもね。乃彩にも一つだけあにち〜より知ってることがあるんだぁ。それは……星のこと。乃彩、星のことについてだったら誰にも、そう、あにち〜にだっ て負けないよ!
だってだって、いつか新しい星を見つけて乃彩とあにち〜の名前をつけるのが乃彩の夢なんだもん。




乃彩が星のことを好きになったのは今よりずーっと小さかったとき、あにち〜がプラネタリウムに連れて行ってくれたからなの。えへへ、あにち〜覚えてるか なぁ……

最初はお部屋の中にいるのに星が見れるの?って思ってたんだけど、天井いっぱいに広がった星空を見たら、乃彩すっごく感動したんだぁ……それでね、そのと き一緒に上映してたのが新しい星を見つけた人の話で、それを見て『乃彩も星を見つけてあにち〜と乃彩の名前をつけよう』って決めたの。
もちろん星を見つけるのは簡単なことじゃないけど、乃彩の一番おっきな夢だから絶対に叶えてみせるの!







ねぇ、あにち〜知ってる?冬は空気が乾燥して空がきれいになるから星を見るには最適なんだよぉ。
でもやっぱり……



「はーーーーッ」



やっぱり寒いなぁ……息も真っ白になっちゃった。あにち〜がそばにいてくれたらそれだけで寒さなんてどこかに行っちゃうのになぁ……

あにち〜はすっごく優しくて乃彩が呼ぶとすぐに来てくれるのだけどあにち〜だっていつもお時間があるわけじゃないし、お約束もしてないのにこんな時間に 呼んだりしたら迷惑になっちゃうよね。せっかく綺麗な星雲を見つけたんだけど、今夜は我慢しようっと。


ねぇ、お星様。あにち〜もお星様を見てるかなぁ?
そして乃彩のこと想ったりしてくれてるかなぁ?なんて、えへへ







そんなことを考えていたらね、階段を上る音が聞こえてきたの。
あれ?誰だろう、お母さんがそろそろ寝なさいって言いに来たのかなぁ?まだそんなに遅い時間じゃないんだけど……天体ドームのドアをノックする音、だけど ドアの向こうから聞こえた声はお母さんじゃなくて……



「こんばんわ、乃彩」



それは、大好きな大好きなあにち〜の声だったんだぁ



「え、あにち〜?」



乃彩、すぐにドアのところまで行ってゆっくり開けたの、そしたらあにち〜がいつもの優しいお顔で立っていて、今夜はお約束していないのにどうしたのか なぁ?って乃彩がびっくりして固まっていると



「星がたくさん出ていたから乃彩と一緒に見よう思ってね」



って少し照れながら言ったの。もしかしてあにち〜がそばにいてくれたらいいなって思ったから、お星様が叶えてくれたのかなぁ?
えへへ、乃彩ね、すっごく嬉しくなって思わず「あにち〜!」って飛びついちゃったぁ
あにち〜は困ったようなお顔をしてたけど、むぎゅってしたあにち〜はとっても温かかったからもっとぎゅーってしたの。







「あ!そうだ、あにち〜きてきて!さっきすごいのを見つけたんだよ!」



このままぎゅーってしていたかったけど、せっかく星が良く見えるんだもん、あにち〜にも見せなきゃって思って、乃彩、すぐにあにち〜を望遠鏡の所まで引っ 張って行ったよ。
あにち〜は望遠鏡を覗くとすぐに驚いて、そして「よく見つけたね、乃彩」ってほめてくれたのだから嬉しくなって、もっと教えたいって思って、



「それはね、ふくろう星雲って言うの。ふくろう星雲はおおぐま座β星から南東約2゜.4'に位置する惑星状星雲でM97って言われていて……あ」



えへへ、夢中になりすぎてついつい難しい話をしちゃった。あにち〜もなんだか困ってるみたいだし……あ、そうだ!



「突然ですが、あにち〜に問題です!北の空にあって一年中ほとんど動かない星は何でしょ〜?」



ふふふあにち〜わかるよね?これは基本中の基本だよぉ。
あにち〜は少しだけ悩んだあと、ドームのスリットから見える北の空に光る一つの星を指差して



「北極星・・・だよね?」って、ちょっと首をかしげながら答えたの。



「うん!大正解だよ!」



あにち〜が北極星のこと知ってたから少しだけホッとしちゃったでも少し簡単すぎたかも?
あ、そうだ北極星といえば……



「あのね、あにち〜。北極星は星を見ている人にはすっごく大事な星なの。 おっきな望遠鏡には地球の自転と同じ速さで動く赤道儀って装置が付いてるんだけ ど、 その装置は北極星みたいに動かない星がないとちゃんとセットできないの」



赤道儀なんて専門的な言葉だから分からないはずなのに、あにち〜は乃彩が説明することを真剣なお顔で聞いてくれたんだ。
乃彩、なんだかすっごく嬉しかったよ。そして……



「じゃあ、北極星は乃彩にとって一番大切な星なんだね」



あにち〜は北極星を見上げて言ったの。







うん、北極星は乃彩にとっても大切な星。けど、一番じゃないんだぁ……だから……



 「ううん。乃彩にはね……一つだけ北極星よりもっともっと大切な星があるの」



その星はいつも乃彩を元気にしてくれるんだよ。
でもね、その星を見つめてると胸がきゅーんってなってどきどきしちゃうのそれは星を探しているときのどきどきとは少し違う感じで……心がもっともっと温 かくなってふわ〜ってなっちゃうどきどきなんだぁ



「もっと大切な星かぁ、その星はどれなのかな?」



あにち〜は優しい瞳で乃彩のお顔を覗き込んで言ったの。瞳の中の乃彩はちょっと頬が赤くて、モジモジしてて……お顔がすごく近くにあったから、なんだか恥 ずかしくてどきどきしちゃったよ

あにち〜、こんなに近くだと乃彩の胸のどきどきが聞こえちゃうよぉ。
だから乃彩、後ろを向いて少し深呼吸してから言ったの。



「そ、それは……あにち〜には内緒だよぉ



だってそれは乃彩にとっては宇宙で一番大切な星。たった一つだけの乃彩のこころの星。
どの星よりも明るくて、温かくて、そして一番近くで輝いている星……










それは……あにち〜、だよ



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